2022年の抱負


 実は2年ほど、博論社を経営しながら外部の出版社で月刊誌の編集をしていた。5月末に退職したばかりだ。会社の経営陣がどのような姿勢で出版社を経営しているのか勉強するためだった。良い意味でも悪い意味でも大変勉強になった。今後の弊社の運営に生かしていきたいと思っている。

 

 開業から4年経ち、隔世の感がある。弊社のような実事務所を持たない一人出版社も増え、弊社の方向性は間違っていなかったと確信している。Amazonがネット書店事業に乗り出したのが2000年だから、20年余りで日本の出版業界は大きく様変わりした。Amazonの狙いについて「著作物再販制度の廃止と、小売店、即ちアマゾンによる小売価格決定権の掌握による出版流通の覇権」と指摘する業界人もいる1)

 

 金融業界ではキャッシュレス化が目覚ましく、キャッシュレス化を支える技術は「FinTech(Finance Technology)」と呼ばれる。「FinTech」とは「金融のデジタル化に伴う新しいサービスやしくみをつくる技術やその潮流」2)のことだが、金融業界に限らず、あらゆる業界で「デジタル化に伴う技術や潮流」は広がり、想像もしていなかったことが現実になっている。

 

 弊社は今後もICTをうまく取り入れつつ、従来の「人間でなくてはできないこと」を大事にしていきたい。そうすれば、想像もしなかった出版の在り方が見えてくるような気がする。

2022年6月15日

高村京夏

 

1)高須次郎『出版の崩壊とアマゾン 出版再販制度〈四〇年〉の攻防』論創社 、2018年、268頁。

2)キャッシュレス決済研究会 『キャッシュレス決済がこれ1冊でしっかりわかる教科書』技術評論社、 2020年、42頁

 

 

 

2021年の抱負


博論社開業から3年がたち、日本で博士号を取得した外国人留学生の方の博士論文の書籍化がほとんどなされていないことに憤りを感じている。今後は、特に海外在住の研究者との博論の書籍化にも力を入れていきたい。

 

2021年7月10日

高村京夏