品切れ重版未定―。
「良い本なのに、なぜ、重版しないのだろう。」
そう思ったことはありませんか。
「売れないから。」
そう言ってしまうのは簡単ですが、今回は、「品切れ重版未定」について、書籍流通のしくみから考えてみたいと思います。
書籍流通の中核を担っているのが、取次です。
書籍流通には、一般の方には見えにくい、構造があります。
『『書籍市場の経済分析』の著者浅井澄子さんは、日本の書籍流通の独自な点として返品と決済システムの2点をあげています。
「日本の大手取次は、日本出版販売とトーハンである。取次が一般の財の流通における卸売業と異なる点は、返品と決済システムにある。出版社が新刊書を発行し、取次に搬入されると、通常、取次から出版社に対し、消費者への販売の有無にかかわらず、搬入の翌月に代金の一部あるいは全額が支払われる。取次は、書店のこれまでの販売実績を考慮し、書店に新刊書を配送し、書店から配送された書籍の代金を翌月に受領する。書店は取次から配送された書籍を4か月以内、大手取次のトーハンから配送された書籍では105日以内に返却することができ、返却分の代金を取次から受け取る。」*1
出版社は、新刊書が発行され取次に搬入すると、本が売れても売れなくても、取次からお金が入る。一方、書店は、返品の際に代金は戻ってくるけれども、本が売れていなくても配本された翌月には本の代金を取次に支払わなければならない―書籍流通独自の決済システムです。
ところで、書籍流通の独自な点のもう1つの返品について、どれくらいなされているものなのでしょうか。
「出版科学研究所(2018)によると、金額ベースで2017年の書籍の36.7 %、雑誌の43.7%が返品され、その一部は処分されるという現状は、当初の目的とは乖離したものとなっている。取次や書店の配送と、それに要する作業時間を考慮すると、返品に関しては改善が必要であることに出版関係者の異論はないであろう。」*2
返品され在庫となり、細々とでも売れていけばいいのですが、売り切るのに何年かかるか分かりません。しかも、売れるまで、倉庫の費用がかかり続けます。やっと売り切った書籍を重版することに出版社としては、慎重にならざるを得ないでしょう。「品切れ重版未定」は、日本の書籍流通システムから生じている事態といえそうです。
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弊社は、上記のような書籍流通ではなく、注文が入ってから、オンデマンド出版でその分だけ印刷して、販売します。
「品切れ重版未定」や絶版が、そもそもありません。
ご自身の著書が、品切れなのに重版される予定もない事態になったとしたら。苦労して出版したのにこんな悲しいことはありません。
博士論文の出版を検討されているなら、品切れや絶版がない、弊社の流通の在り方をご検討なさってみてはいかがでしょうか。
出典
*1:浅井澄子『書籍市場の経済分析』日本評論社、2019年、52ページ
*2:同上、53ページ
文責:高村京夏
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