7月に、弊社は神保町にある共同書店、PASSAGEの棚主になりました。
神保町は多くの研究者が立ち寄る古書の町。弊社で出版した本は、神保町の一等地、PASSAGEで販売ができます。
近くにお立ち寄りの際は、ぜひPASSAGEの弊社の棚までお越しください(事業案内パンフレットも置いています)。
さらに8月には、弊社3冊目となる書籍の出版が決まりました!
広島大学大学院社会科学研究科で学位を取得された仙波亮一先生(京都橘大学 経営学部 准教授)の博士論文*を出版させていただくことになりました。
現在、2023年初頭の出版を目標に編集作業を進めています。
●弊社が博論の出版にこだわる理由は?
仙波先生と初回Zoom打ち合わせの際に、先生から弊社の経営方針に共感した旨のお言葉をいただきました。
弊社の経営方針に共感していただける研究者の方が少しづつでも増えれば、弊社を立ち上げた甲斐があるというものです。
ところで、打ち合わせの中で仙波先生から「御社から博論以外に本は出しているのですか」と質問をいただきました。
弊社では博論以外の本は出版していません。
理由としては「学術的に価値のある本の出版にこだわりたい」ということがあります。
弊社は「売れない」と言われる学術的に価値のある本を、むしろ出版していく方針をとっています。
以前のブログでも、この方針について書いていますが、ここでは、そもそも、なぜ人文学の博士論文限定の出版社を立ち上げようと思ったのか、原点を書いてみたいと思います。
私は学生時代の頃、とても優れた学者に哲学を学ぶ機会に恵まれました。社会人になってからも、人文学の書物を通じて研究者の深い知性にふれることができました。
書物にしろ実際の出会いにしろ、そのような研究者に出会うたびに、その知性に、その高貴な魂に畏敬の念を払わずにはいられませんでした。
しかし、いつのころからか、そのような優秀な研究者たちが、研究を続けることもままならない状況に置かれていたり、「売れない」という理由で、研究成果をどこの出版社からも出版してもらえない、そんなことが普通の時代になっていました。
そんな状況を憂えていた時、編集者として生きてきた私は、ある時、ふと気がついたんです。
「編集者はどんなに困難な出版であろうと、出版の道筋を模索することはできる」と。
「編集者が、学術的に価値のある本の出版をあきらめてしまったら、一体、誰が優れた研究書を世に出せるというのだろう」。
ですから、私は「売れない」と言われる学術的に価値のある本、中でも博士論文の出版にあえてこだわっているのです。
●研究者にとって救いの場になりたい
仙波先生に一番の想定読者は、どなたですか、と伺うと、
「院生に読んでもらいたいです。ですから、なるべく定価は安くしてもらえたら」。
とお返事が返ってきました。
弊社での編集作業は研究者の思いのベクトルと同じベクトルを持ちながら、一緒に著書を制作していきます。そして、著書が完成したその先も、著者の思いを引き継いで著書を販売していきます(オンデマンド出版なので、絶版はありません!)。
弊社では、編集作業の対価として委託制作費をお支払いいただいています。この「対価」については、「自費出版」ということで一般的に持たれている、負のイメージを払拭した「対価」と捉えていただけるまでになればなあ、と願っています。
弊社の経営方針に共感した研究者たちが、「博論社」を一つの場としてとらえ、「博論社で出版したから、私の研究業績は後世に伝わる」と思えるような、研究者たちにとって救いとなるような、そんな出版社でありたいと考えています。
代表:高村京夏
*「自我脅威が組織機能阻害行動に及ぼす影響―自己愛タイプ別に見た我が国組織におけるサポートの有効性」
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