1月5日に「全員巨匠! フィリップス・コレクション展」を見に、丸の内にある三菱一号館美術館に行ってきた。
入場制限もなく、適度な混み具合でのんびり見て回ることができた。
展覧会名どおり、ゴヤ、ドラクロワ、マネ、クールベ、ゴッホ、スーラ、セザンヌ、ゴーガン、ドガ、ピカソ、アンリ・ルソー、ユトリロ、マティス、ブラック、カンディンスキー、クレー、などそうそうたる巨匠たちの作品75点が一堂に会していた。
巨匠だって秀作ばかり描いてるわけではない。あれ?という画もある。
だが、今回は美術館が言うとおり「いずれも質の高いものばかり」で、「秀作」ぞろいだった。
美術館の推しに、「コレクションのオリジナルポストカード68種類」があり、それも楽しみのひとつ。
ニコラ・ド・スタールの「北」という画が気に入ったのでポストカードを買おうとしたが、色や凹凸など、画の独自なところがみごとにそぎ落ちてしまっていた。その他のものも、感心するぐらいに。
結局、実際の絵画とポストカードとの落差がありすぎて1枚も買う気にはなれなかった。
写真1 現在の三菱一号館美術館は1894年に建設した「三菱一号館」を2010年に復元したもの。博論社撮影。
写真2 「階段部の手すりの石材など、保存されていた部材を一部建物内部に再利用したほか、意匠や部材だけではなく、その製造方法や建築技術まで忠実に再現するなど、さまざまな実験的取り組みが行われています*1」とのこと。絵画鑑賞しながら建物内部を散策するのが楽しい。もう少し椅子があるといいのにと思う。フィリップス・コレクション展は、2月11日まで。第2水曜日17時以降/当日券一般(女性のみ)が1000円になる「アフター5女子割」がおススメ。写真は美術館内部、博論社撮影。
ところで、本展覧会にも数点展示のあったゴッホに関連して、アムステルダムにある「Van Gogh Museum*2」のWEBサイトはご存知だろうか。
館内ストリートビューもあって一見の価値ありである。
サイトは11言語に対応しており(日本語もある)、チケットはWEBサイトのオンライン購入のみで、支払いはPayPalなどが利用でき、海外のお客を前提にしているのは明らか。
中でも、ゴッホの書簡をオンライン化して、検索可能にしているところが素晴らしい。
簡単にゴッホの直筆書簡が見られる!
「ゴッホが書いたり、受け取った手紙のすべてが、このWEB版で――902通の手紙と関連のある25の草稿――公開されています。*3」
このゴッホ書簡のオンライン化プロジェクトを利用して「書簡の統計学的分析」を進める研究者もいる*4。
実際の絵画を見ることは何ものにも代えがたいが、Van Gogh Museumの取り組みのように、ひと昔前には想像もできなかったことが可能になり、それに伴い研究のありかたも変わってきた。
何はともあれ、その恩恵に浴することができるのは何ともありがたいことだ。
*1 三菱一号館美術館WEBサイト「三菱一号館美術館について」(https://mimt.jp/about/)より博論社、抜粋。
*2 https://www.vangoghmuseum.com/en/
*3 「All the letters written and received by Vincent van Gogh are presented in this web edition: 902 letters and 25 'Related Manuscripts'」「Quick guide Viewing a letter」http://vangoghletters.org/vg/quickguide.html、より博論社抜粋、翻訳。
*4 2018年12月8日、東京大学で行われた若手セミナー「人文科学とデジタル」にて柴美香氏(東京大学総合文化研究科・三浦篤研究室)が「ゴッホの文学的芸術的嗜好の再検討―書簡の統計学的分析から」というタイトルで発表している。柴氏によると「全集よりもオンラインプロジェクトのほうが詳細」とのこと。
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